無上乗仏教
日本の「2大伝統宗教」の1つであり、「世界3大哲学 (三哲)」 の1つでもある仏教。「文化について」のpageでも言及したように、日本の「2大伝統宗教」のもう1つである神道の方は、拡張神道 (や科学神道) を通して、「発展の道」を確保することができますが、こちらの仏教の方も、そのまま放置して「不良債権化」して、日本や人類の足を引っ張ってしまうことがないように、何らかの改革措置を講じつつ、updateしていく必要があります。
(※ 幸い日本の仏教は、古い形式を維持している南方の上座部仏教と異なり、元来形式が崩れて大衆化/世俗化した大乗仏教の系譜であり、さらに近代化も経て世俗化が極まった形態になっているので、改革/updateが容易です。)
そんな「日本仏教の近現代化」に必要な要素としては、
- 自然科学との調和
- Latin字化 --- 用語を (漢字語ではなく) Sanskrit/Paliからの直輸入で使用できる。
- Greece (Hellas) 的要素 --- Greek哲学/Platonismとの共通点に目を向けて、思想的理解を深める。
- (世俗化/簡素化)
などを、挙げることができるでしょう。
こうした要素を備えて、近現代的/発展的/持続可能な形にupdateされた仏教を、ここでは「究極的な仏教」という意味で、
- Anuttarayāna Buddhism (無上乗仏教/むじょうじょうぶっきょう)
と呼んでいます。
そして、そんな無上乗仏教と各伝統宗派の狭間には、「媒介/つなぎ役」として、
- Comprehensive School (総合宗)
といったplatformも、必要となります。
こうした発想/visionは、今はまだ空想的に感じる人も多いでしょうが、将来的に一段と葬式離れ/寺離れや、組織的/教義的形骸化が顕著になってくれば、現実味を感じる人も増えてくることでしょう。
さらに付け加えておくと、(原始)仏教とPlatonismの共通性の炙り出し/強調や、冒頭で言及した「三哲」構造の補強も兼ねて、仏教とPlatonismを融合させた、
- Platonic Buddhism (普仏教*/ふぶつきょう)
(* ここではPlato (プラトン) を、「普拉頓」と漢訳しています。)
といった枠組み/platformも、ここに付け加えておくと、「思想環境」全体がより上手く噛み合う/回るようになるでしょう。
ついでにここで、Greek philosophy (ギリシャ哲学)/Platonism (プラトン哲学/プラトン主義) とIndian philosophy (インド哲学)/Buddhism (仏教) の特殊な関係、そして、なぜPlatonism (プラトン哲学/プラトン主義) を混ぜることが、Buddhism (仏教) を再生することになるのかについて、少々長くなりますが、簡単にまとめておきたいと思います。
まず、世界の思想/哲学/宗教史にある程度詳しい人なら皆知っていることですが、Greek philosophy (ギリシャ哲学) のItalian school (イタリア学派) → Plato (プラトン) の系譜と、Indian philosophy (インド哲学) のBrahmanism (バラモン教)/Upanishads (ウパニシャッド) → Buddhism (仏教) の系譜は、直接の接点は無いにも関わらず、思想の傾向/内容が非常に似通っています。
例えば、「輪廻」とか「現象 (内在) - 超越」二分法 (二元論)といった部分がです。
ただし、両者では順番が異なっていて、Greek philosophy (ギリシャ哲学) では、「現象 (内在) - 超越」分割二元論のParmenides (パルメニデス) の影響下から、「現象 (内在) - 超越」統合論 /「魂 - 超越」接合論のPlato (プラトン) が出てくるのに対して、Indian philosophy (インド哲学) では、「現象 (内在) - 超越」統合論 /「魂 - 超越」接合論のBrahmanism (バラモン教)/Upanishads (ウパニシャッド) の影響下から、「現象 (内在) - 超越」分割二元論のBuddhism (仏教) (Gotama (ゴータマ) のEarly Buddhism (初期仏教)) が出て来ることになります。
しかし、話がややこしいのは、そんなGotama (ゴータマ) のEarly Buddhism (初期仏教) に対して、500年後の紀元前後頃から、Brahmanism (バラモン教)/Upanishads (ウパニシャッド) に内容的に近接したMahāyāna Buddhism (大乗仏教) が出てきたという点です。
Mahāyāna Buddhism (大乗仏教) とは、端的に言えば、
- Brahmanism (バラモン教) の後継 (大衆化) 宗教であるHinduism (ヒンドゥー教) の台頭に伴い、それに対抗するために、Hinduism (ヒンドゥー教) の要素を吸収しつつ、大衆化/世俗化/多神教化したBuddhism (仏教)
なので、内容的にBrahmanism (バラモン教)/Upanishads (ウパニシャッド) に近接していくことになったのは、当然の結果と言えます。
しかも、このMahāyāna Buddhism (大乗仏教) は、思想的には、
- 「中観」思想
- 「唯識」思想
- 「仏性/如来蔵」思想
- 「如来/菩薩信仰」
の4本柱で成り立っており、方向性を欠いた内在的/汎神論的/相対主義的な性格が、色濃く出がちです。
そういう訳で、Buddshism (仏教) は、
- Pessimism (厭世主義) に流れてしまい易い、Early Buddhism (初期仏教)/Theravada Buddhism (上座部仏教)
- Relativism (相対主義) に流れてしまい易い、Mahāyāna Buddhism (大乗仏教)
という両極端の狭間で、人々がどちらにも全面的に乗っかることができないままの、グダグダな状態が今日まで続いてしまっています。
そこで、上述してきたように、Brahmanism (バラモン教)/Upanishads (ウパニシャッド) と同じく、方向性/究極目的を明確に持った、そして社会実践的な性格も持ち合わせているPlatonism (プラトン主義) や、自然科学 (やPSD) と接合/合流する形で、Anuttarayāna Buddhism (無上乗仏教) といった形へとまとめ上げられることは、そんな従来のBuddhism (仏教) の問題点を解消し、再生することになる訳ですね。
分かりやすく図式化すると、下図のようになります。
こうした全体の歴史/文脈/構図を踏まえてもらうと、より一層深い理解をしてもらえるようになると思います。
(※ さて、仏教に関して、最後に更にもう1つだけ付け加えておくと、大乗仏教の諸々の「如来信仰」「菩薩信仰」の枠の中に、「耶威如来」「耶蘇菩薩」や「安拉如来」といった概念を導入し、
- Christian Buddhism (基仏教/きぶつきょう)
- Islamic Buddhism (伊仏教/いぶつきょう)
といった枠組みも用意しておくと、将来的/全人類的な宗教的/民族的融和にも、役に立つことでしょう。)