LJについて
LJ (Latinized Japanese/Latin字日本語) についての詳細。
(※「言語に関する取り組み」全般については → 言語について)
(※ 本項の内容 (LJ) を含むEnglish習得法「Q method (Quick method)」全般については → English Way)
Contents
はじめに
「Latin字のみ表記の日本語」としての「LJ」
まずは、LJ (Latinized Japanese/Latin字日本語) の必要性について、述べていきましょう。
「漢字+かな/カナ+Latin字」の併用で表記するEJに加えて、欧米その他の多くの地域の言語と同じく、「Latin字のみ」で表記するLJという表記optionを持っておくことは、日本語の、ひいては日本の社会/文化/文明としての可能性を広げて、発展を後押しする効果が期待されます。
「Latin字のみ」で表記するという表記optionには、単に、
- 「世界の多数派である「Latin字圏 (LA Club)」への仲間入り」ができ、様々な便益/融通/言語的文化的拡張性が得られる。
という利点だけではなく、加えて、
- 「漢字表記/漢字変換」の手間から、解放される。
- 「Latin字特有の省略表記」を、活用できる。
という利点も、あります。
(※ また加えて、外国人からの視点を付け加えると、
- (非漢字文化圏、というか事実上中国語圏以外の全ての地域の) 外国人が、日本語(圏) に関わり易くなる。
という利点も、挙げることができるでしょう。これは日本の商売や文化の発展、国際的影響力の増大、あるいは、もっと広く日本民族・日本文明の発展などを考えた場合、必要不可欠な要素ですね。
日本人の多くは意外と意識してないことですが、「漢字の壁」は、非漢字文化圏・非中国語圏の人間にとっては、ものすごく高いものです。English圏の人間が最も習得困難な言語として、Arabic、Chinese、Japaneseの3つが挙げられるが常ですが、その最大の原因はやはり「漢字」にあります。
それぐらい「漢字」は、外国人を日本語(圏) に関わり難くし、外国人が日本語(圏) を忌避する原因ともなりますし、それに伴う商売その他の様々な分野における「機会損失」には、甚大なものがあります。
したがって、日本語に「Latin字のみ」のoptionを用意することは、そうした実際的な不利(益)から、日本語(圏) を救うことにもなる訳ですね。)
「English語彙」と「LEJ」
そんな諸々の「Latin字表記使用の利点」の中でも、その最たるものは、
- 事実上 (de facto) の世界共通語として機能しているEnglishの語彙・表現を、直接輸入/利用し易くなる
という点であり、LJではまさしく、そうしたEnglishの語彙/表現の「積極的な輸入/使用」が推奨されますし、そうした意味では、このLJは、
- EJ (Englishized Japanese/英語化日本語)
といった呼び方もできる訳ですが、これだと、EJ (拡張日本語) と紛らわしいので、そうした性格 (単に「Latin字で表記する」だけでなく、「English語彙をLatin字のまま積極的に使用する」こと) を特に表現したい場合は、LJと組み合わせて、
- LEJ (Latinized Englishized Japanese/Latin字 英語化 日本語)
(※ 「LEJ」の読み方は「エリージェイ」)
と表現してもらうと、良いでしょう。
そして、EJ (拡張日本語) でも述べたように、「English語彙の取り込み方」については、漢字語彙のように、形容詞は「〜na/ni」、動詞は「(原形) suru」といった語尾を付けたり、「on 〜」のような前置詞句では「〜(no ue) no/de」のように前置詞を除去して取り込む「通常方式」(normal style/NS) と、
- 述部/動詞(句) を、「過去形/3単現/be(進行形/受動態)/have(完了形)/助動詞/副詞/前置詞付き」のまま、語尾を付けずに、そのまま利用する。
- 前置詞句は、前置詞付きのまま、「[pp]〜(no)/de/ni」等の語尾を付けて利用する。
- (述部を日本語のように最後尾に持って来ずに、Englishのように主語の直後に置いたままにすることもできる。(関係詞節を用いた後置修飾などもそのままできる。))
といった特徴を持った、つまりは、実質的に
- g(a) (が)
- a (は)
- (m(o) (も))
-
- o (を)
- d(e) (で)
- n(i) (に)
といった最低限の格助詞 (副助詞) を、Englishに添えるだけの、「引用方式」(quote style/QS) の2種類に、分けることができます。
したがって、LJ (Latin字日本語) には、Englishとの距離感によって、
- LJ (Latin字日本語) --- Latin字のみ。
- LEJ (NS) (Latin字英語化日本語 (通常方式)) --- (+) English語彙特化。
- LEJ-QS (Latin字英語化日本語-引用方式)★ --- (+) English述部/前置詞句 直輸入。
- LEJ (NS) (Latin字英語化日本語 (通常方式)) --- (+) English語彙特化。
といった3種のvariationsがありますし、特に★を付けた一番下のLEJ-QSは、English習得法であるQ methodにおいて、(EJ (拡張日本語) の「引用方式」(QS) であるEEJ-QSと共に)「語彙の融通」に関して決定的に重要な役割を、担うことになります。
「Hebon式」とその「変種」と「LJ式」
さて、そんなLJ (Latin字日本語) の「Latin字表記様式」ですが、普通に考えれば、最も普及している「Hebon (Hepburn) 式」が、最も有力だと言えるでしょう。
しかし、「Hebon式」や「訓令式」といった既存のLatin字表記様式は、
- ◾️①【U問題】 : 50音の「う段」の音に機械的に「-u」表記を割り振っているため、(他言語のLatin字表記と比べて)「u」が不自然に頻出してしまう。
- (※ 例えば、「桝を美しく塗る」は「masu o utsukushiku nuru」といった具合になる。)
- ◾️②【母音表記問題】 : 日本語の語彙区別において非常に重要な、「短母音/長母音/二重母音の区別/書き分け」が、不可能、あるいは雑/いい加減。
- (※ 例えば、代表的な「おう」/ou/ の表記で言えば、Hebon式では「o」「ō」、訓令式では「ô」、さらに人名表記で用いられる例外/慣用表記として「ou」「oh」といった表記も用いられ、混在している。同じく代表的な「うう」/uː/ の表記で言えば、Hebon式では「u」「ū」、訓令式では「û」、例外/慣用表記として「uu」といった表記が用いられ、混在している。)
- (※ なお、①の【U問題】は、「uが多過ぎる」のが問題でしたが、この②の【母音表記問題】では、逆に「uが省略されがち」なことが問題になっています。したがって、「uが多過ぎたり、少な過ぎたりする」という意味で、②の【母音表記問題】も、広い意味での【U問題】に含めることができます。)
- ◾️③【R問題】 : 「ら行」の音が、言語による音のバラつきが極めて小さく、Englishなど他言語の語彙 (借用語) との音の競合/干渉がほとんど無い「L」ではなく、言語による音のバラつきが極めて大きく、Englishなど他言語の語彙 (借用語) との音の競合/干渉が確実に生じることになる、癖の強い「R」を用いて表記されてしまっている。
- (※ 例えば、「r」は世界一般的には「巻き舌 (震え音)」の音だが、西欧系言語では特殊な発音が多く、American Englishでは「そり舌」、一部のFrench/Germanでは「口蓋垂 (のどひこ/のどちんこ) を使った震え音」、また一部のFrench/Portugueseでは「口蓋垂を使った摩擦音 (「は行」のような音)」だったりする。)
といった問題を抱えているため、LJの用途には不向きな面があります。
そこで、この欠点を補うために、
- 修正Hebon (Revised Hebon/RH) 式 --- ①の「U問題」に対処。不要/不自然/余分な「u」を、柔軟に削ることを許容。(sh/ch/jの後では「i」も。)
- L式 --- ③の「R問題」にも対処。ら行を「L」で表記。
- LJ式 --- ②の「母音表記問題」にも対処。「おう」/ou/ を「ow」、「うう」/uː/ を「uw」といったように、二重母音・長母音の後ろの「う」を「w」で表記することで、短母音との書き分けを可能にし、視認性も高める等。
- L式 --- ③の「R問題」にも対処。ら行を「L」で表記。
といった「Hebon式の変種」も追加して、対応していく必要があります。
そういう訳で、「Latin字表記様式」を改めてまとめると、
- 1. Hebon式
- (1'. 訓令式)
- 2. 修正Hebon (RH) 式 --- u (i) 省略可。
- 3. L式 --- (+)「ら行」を「L」で。
- 4. LJ式 --- (+) 二重母音・長母音の後ろの「う」を「w」で等。
- 3. L式 --- (+)「ら行」を「L」で。
- 2. 修正Hebon (RH) 式 --- u (i) 省略可。
といった具合になります。
最後(4)の様式を「LJ式」と名付けていることから分かってもらえるように、SHとしては、これをLJの表記様式として推したいところですが、現実問題として、まだみんなが不慣れな中でhurdleが高いでしょうから、当面は1〜3の間でやりくりしていくのが、現実的かなと思います。
以下では、おまけとして、そんな「LJ式」の日本語 (Nihongo/LJ) の表記形態について、その概要を説明しておきたいと思います。
おまけ:「LJ式」の基本
50音表
| 行\段 | あ | い | う | え | お |
|---|---|---|---|---|---|
| あ行 | a | i | u | e | o |
| か行 | ka | ki | ku/k | ke | ko |
| が行 | ga | gi | gu/g | ge | go |
| さ行 | sa | si (ši/sh) (Kanji: shi) |
su/s | se | so |
| ざ行 | za | zi (ži/zh) (Kanji: ji) |
zu/z | ze | zo |
| しゃ行 | sha | shu | sho | ||
| (じゃ行) | (zha) | (zhu) | (zho) | ||
| た行 | ta | ti (ťi/č/ch) (Kanji: chi/-ch) |
tsu/ts | te | to |
| だ行 | da | (di (ďi/j)) | (dzu/dz) | de | do |
| ちゃ行 | cha | chu | cho | ||
| じゃ行/ぢゃ行 | ja | ju | jo | ||
| は行 | ha | hi | hu | he | ho |
| ぱ行 | pa | pi | pu/p | pe | po |
| ば行 | ba | bi | bu/b | be | bo |
| ら行 | la | li | lu/l | le | lo |
| ま行 | ma | mi | mu/m | me | mo |
| な行 | na | ni | nu/n | ne | no |
| や行 | ya | yu | yo | ||
| わ行 | wa | wo/o | |||
| n' (m/n) | |||||
| -う | aw | iw | uw | - | ow |
表記規則
「LJ式」の主な特徴/表記規則は、以下の通りです。
- (1) 「u」を取り除いた「子音単独」の表記も認める。
(例) taskel, -des/-mas
— 表記の冗長性排除と発音との一致性向上のため。* - (2) 「し」「じ」「ち」は、固有語と漢字語で表記を変える。
(例) 固有語 : si (sh), zi (zh), ti (ch)、漢字語 : shi, ji, chi(-ch)
— 形容詞/動詞活用における表記整合性/簡便性などのため。** - (3) 「ら行」を、「L」で表記する。
(例) la, li, lu/l, le, lo
— 「R」は、言語による音のバラつきが極めて大きいため。*** - (4) 二重母音/長母音の後部の「う」を、「w」で表記する。
(例) aw, iw, uw, ow
— 日本語の音韻/活用との相性や、視認性/分別性向上のため。****
(* 「u」除去 (U elimination) の基準に関しては、
- 活用語尾の直前の「u」は、残す。
- 連続する前後の音節で、「u」が重複しないようにする。
- 漢字語の場合、「一文字一音節(一母音)」の原則 (「-ki」を除く) を守る。(※詳細は下述)
という3つの原則を踏まえておけば、ほとんどの場合、自ずと表記の形は導けます。)
(** こうしておかないと、「さ行」「た行」の動詞活用において、
- 「sa/shi/s(u)/se」
- 「ta/chi/ts(u)/te」
といった、一貫性/統一性の無い表記を用いなければならなくなってしまいます。
また逆に、「訓令式」風の「si」「ti」表記のみに統一してしまうと、今度は漢字語の表記としてイマイチになってしまいます。そこで、両者の使い分けが一番望ましいという結論に至りました。
なお、50音表にも示されているように、(特に形容詞/動詞(用言)以外の-) 固有語表記において、「し」「じ」「ち」が「歯茎硬口蓋音」であることを表記に反映して表現したい (そうじゃないと感覚的に気持ち悪い-) という場合は、「sh」「zh」「ch」という表記も許容します。その辺りは柔軟に対処してもらうといいでしょう。)
(*** 「巻き舌」「反り舌」「のどひこ」等々。
したがって、そうした各言語の (借用語の-)「R音」との競合/干渉を避けるためには、「ら行」を「L」で表記するのが望ましい。)
(**** こうしておくと、例えば、「言う」(iw) 等の活用で、
- iw(言う) → iwanai(言わない)
といった連続性のある円滑な表記ができるようになりますし、「う」の長音表現としても、
- 1. 入力環境が制限される「ū」「û」
- 2. 見た目が冗長な「uu」
- 3. 上記2つの問題を抱えていない、「LJ式」の「uw」
といった具合に、より容易かつ明解な、優れた表記になります。)
おまけ2:「LJ式」の補足
「u」の補充
既述の通り、「LJ式」では、表記の冗長性を無くすために、不要な「u」の除去を推奨しています。
しかし、実際問題、「動詞の終止形」を中心に、
- 「語末の「u」があった方が、音としての収まりが良い/自然」
という場合も多々ありますし、特に、そうした語彙が「文末」に来る場合や、「歌の歌詞」などで「音を伸ばす(歌い上げる)」ような箇所の語彙などでは、語末の「u」が省かれると、「語調/音調」「音の座り/落ち着き」が良くない場合が、少なくありません。
あるいは、新出の (自分や相手が不慣れな) 言葉を確認/強調するために、「一音一音、はっきり明確に発音」したい場合なども、時にはあります。
そこで、そうした「u」があった方がいい場合には、普段/通常は「u」を省いていても、
- 「そこだけ (「音声的」にも、「表記的」にも) 一時的/臨時的に、「u」を挿入/補充していい」
ものとします。こうした措置を、ここでは、
- 「u」補充 (U complement)
と呼びます。
(※もちろん、「sh」「ch」の後などは、「u」ではなく、
- 「i」補充 (I complement)
になります。)
補充する「u」は、そのままただの「u」でもいいわけですが、補充されたものであることを強調したい場合は、丸括弧付きで「(u)」と表記しておくと、分かりやすいでしょう。
「LJ式」の表記は、こうした柔軟性も兼ね備えているのだということを、併せて覚えておいてもらいたいと思います。
漢字音と音節
また、漢字音の表記に関しては、漢字文化圏のstandardに合わせ、
- 「漢字1文字=1音節」の原則
を守ることが、望ましいです (「-ki」は除く)。
ここで言う「音節」とは、
- 「子音(頭子音) – 母音 – 子音(末子音)」(CVC)
の範囲のことです。
日本以外の漢字文化圏では、全ての漢字音がこの範囲に収まる「漢字1文字=1音節」の原則が成り立っているわけですが、日本語の「Hebon式」「訓令式」では、全ての音に母音を機械的/強制的に割り振るため、例えば「gaku」(学)、「hatsu」(発)、「tachi」(達)といったように、末子音に母音u/iが付属されて2音節になってしまい、この原則が成り立って来ませんでした。
しかし、余分なu/iを省くことが可能な「LJ式」では、「gak」(学)、「hats」(発)、「tach」(達)といったように、語末のu/iを省いて、漢字文化圏のstandardである「漢字1文字=1音節」の原則を成立/回復させることが可能になるので、こうした表記を心がけてもらいたいと思います。
(※ただし、「shiki」(式)、「teki」(的)といった「-ki」の音に関しては、語末の母音iを省いてしまうと、現時点では語彙の音声的な同一性の識別に支障を来すので、例外的にこのままでいいとします。他方で同時に、母音iを省いて「shik」(式)、「tek」(的)としても、間違いではないこととします。将来的には後者の音/表記の浸透を待って、そちらに統合していくのが望ましいでしょう。)
なお、「LJ式」表記の漢字音一覧は、こちらのwiki pageにまとめてあるので、参照してもらうといいでしょう。
その他 (助詞など)
また、助詞の「は」「を」の表記に関しては、「wa」「wo」だと、(繰り返しの使用や、他の助詞との組み合わせ等を考えると-) 冗長で煩わしいので、「a」「o」を推奨します。
(※その他の助詞/助動詞類、用言の活用などに関しては、こちらのwiki pagesにまとめてあるので、参照してもらうといいでしょう。)
hyphen(-)/spaceと3つのstyles
この「LJ式」で実際に日本語を表記していく場合、
- 「Formal Style」(FS/正式表記) — 助詞や語尾/助動詞などを、hyphen(ハイフン)でつなげた表記。
- 「Simple Style」(SS/簡略表記) — それを省いた表記。
- 「United Style」(US/統合表記) — 助詞や語尾/助動詞などを、結合させた表記。
という、3通りの異なる書き方が、考えられます。
試しに、これらを比較すると、このようになります。
- Tamesini kolela-o hikak-sul-to kono yow-ni nalimas. 【FS】
- Tamesini kolela o hikak sul to kono yowni nalimas. 【SS】
- Tamesini kolelao hikaksulto konoyowni nalimas. 【US】
hyphen(ハイフン)を用いる「FS」は、日本語の構造が分かりやすく、見た目にも「締まりのある」表記になる一方で、やや表記/入力に手間がかかります。
それに対して、「SS」は、hyphen(ハイフン)を用いない分、表記/入力が手っ取り早くなりますが、その分日本語の構造が見えづらくなってしまうという欠点があります。
「US」も、hyphen(ハイフン)を用いない分、表記/入力が手っ取り早くなりますし、「SS」と比べて日本語の構造も見えやすいですが、spaceを用いずに語をつなげている分、単語の識別がしづらくなってしまいます。
「LJ式」で日本語を表記する際には、この3つの異なる表記法を、必要/用途に応じて、かしこく使い分けて行ってもらうといいでしょう。
apostrophe(')の挿入
また、これは「LJ式」に限った話ではありませんが、「音節末子音+母音」の組み合わせで、視認性や発音に支障を来しそうな場合は、apostrophe(アポストロフィ)「’」を挿入することを推奨します。
従来の「Hebon式」「訓令式」でも、「ん+半母音(y)/母音(a/i/u/e/o)」の組み合わせで、
- 「三洋」(サンヨー) : Sanyo → San’yo
- 「純一郎」(じゅんいちろう) : Junichiro → Jun’ichiro
といった具合に、apostrophe「’」を挿入すべき事例は散見されたわけですが、「LJ式」の場合、これに加え、上記した (あるいは下述する-) ように、漢字音の語末の不要な母音を排除するため、
- 「録音」(ろくおん) : lokon → lok’on
- 「発案」(はつあん) : hatsan → hats’an
といったように、漢字熟語の「末子音+母音」でも、こうした事例が発生します。
こうした漢字熟語の表記に関しては、あくまでも慣れの問題であり、apostrophe「’」を挿入しなくても別に構わないと言えば構わないわけですが、不慣れな人がつっかからないようにするための配慮として、こうしたことも頭の片隅に入れておいてもらうといいでしょう。
高低accentの表記
また、日本語には高低accentがあり、例えば、
- 端 (はし)
- 箸 (↑はし)
- 橋 (は↑し)
のように、それによって語彙を区別している面もあります。
多くの日本人はこうしたことを、あまり意識せずに行っていますが、例えば、(方言がきつい地域の) 地方出身者や、外国(人)の日本語学習者のために、こうした高音部分を表現できる「表記option」があると、便利だと思います。
従来のかな/カナでは、なかなかそうした表現は難しかった訳ですが、LJのようなLatinjiの場合は、(á/í/ú/é/óといった) 「accent記号付き母音字」をそのまま転用すれば良いだけなので、簡単です。
例えば、上記の例で言えば、
- 端 (はし/hasi)
- 箸 (↑はし/hási)
- 橋 (は↑し/hasí)
と、なります。
こうしたLatinji表記の利点についても、頭の片隅に入れておいてもらうと良いでしょう。
山括弧 < > の推奨
また、これは好みの問題でもありますが、Englishなどでは、会話や強調の表現に、専ら点型の引用符 " " が用いられていますが、鍵括弧「」に慣れている日本人の場合、この引用符が感覚的にしっくり来ない人も結構多いと思います。
そこでLJでは、それらの用途に関して、点型の引用符 " " の代わりに、鍵括弧「」に近い山括弧 < > の使用を推奨します。これはFrench (フランス語) に近い形ですね。
地名/人名とHebon式/English式
なお、この「LJ式」で、実際に日本語を表記していくと、とある1つの問題が出て来ます。
それは、「日本の人名/地名/組織名/文化事象名」等の語彙の表記 (綴り) が、旧来の「ヘボン式」と、「LJ式」との間で衝突/混乱してしまうという点です。
そこで、この点に関しては、とりあえず
- 「日本の人名/地名」等に関しては、旧来の「Hebon式」表記を認める
という特例を設けています。
漢字/仮名の混合/併記
また、日本語の「Latin字表記」では、当然のことながら、それなりの量の同音異義語が発生することになるので、それらを用いる場合や、また、不慣れ/難解な語彙を用いる場合などもそうですが、時折、漢字/仮名を用いて、視覚的に識別/説明できるようにしたくなる場面も、出てくると思います。
そこで、「LJ」では、そうした必要に応じた漢字/仮名の (括弧書きを用いた) 併記や、部分的な漢字/仮名への置き換えも、認めています。
したがって、「LJ」においては、その種の同音異義語の識別にまつわる心配を、する必要はありません。
ShorteningとEnglishization
日本語の「Latin字表記」は、必ずしも良いことばかりではありません。主な問題として、
- (1) 表記が、長くなる。
(漢字と仮名(かな/カナ)によって圧縮されていた部分が、無くなる。) - (2) 同音異義語が、多くなる。
(漢字と仮名(かな/カナ)によって書き分けられていた同音異義語である漢字語/固有語の多くが、書き分けられなくなる。)
の2点を、挙げることができます。
したがって、この2つの問題に対して、
- (1) 各種の「短縮表記」を積極的に導入/活用して、表記を圧縮する。
— 「Shortening」(短縮)【S】 - (2) English Vocabulary(英語語彙)を積極的に導入/活用して、同音異義語の使用機会を減らす。
— 「Englishization」(英語化)【E】
という改善措置を、それぞれ講じる必要があります。
これによって、日本語の「Latin字表記」は、従来の「漢字/仮名表記」に劣らない、むしろそれを超越した実用性を獲得できます。
日本語の「Latin字表記」における、「Shortening」(短縮)の種類としては、以下のようなものが考えられます。
- 1. Abbreviation (AB)
- 1. Cutting/Contraction (C) — cof (←coffee)など。
- 2. Initialism (I) — USA, DNAなど。
- 3. Acronym (AC) — NATO, AIDSなど。
- 2. Abjad style (AJ)/Consonant extraction (CE)
- 1. Normal — sst (←sosite)など。
- 2. (Kanji-shortening style (KJ) — bk (←benkyow), kg (←kokgo)など。)
- 3. (Predicate-shortening style (P) — -ni (← -naio ikenai)など。)
- 3. Kana-shortening style (K) — miniska (←mini skirt)など。
- → Kana-super-shortening style (K2/SS) — mis (←miniska/mini skirt)など。
1は、現在のEnglishでも普通に用いられている類のものであり、珍しいものでありません (1-1は、Englishの場合は、period(.)を付けて省略を表現するのが常ですが)。
2は、ちょうどArabic (アラビア語)/Hebrew (ヘブライ語) などの中東言語にも見られるような、子音のみ (音節が母音で始まる場合や、二重母音/長母音の末母音を表す場合などは、母音字も含む) で簡略表記する手法ですね。日本語との相性も良いので、日本語のLatinization (Latin字化) 表記においては、この手法がmainになると言っていいでしょう。
(※なお、こうした「母音を省略する簡略表記法」は、Englishなど他の言語にも適用可能です。Englishに適用した場合、それは「Abjad English」(AE)とでも呼ぶべきものになるでしょう。)
2-2は、漢字語のみに使用可能な手法であり、漢字単位での頭文字を表記する手法です。音節の末子音を表記しない分だけ、Abjad style (AJ) よりも圧縮度が高くなっています。ただし、末子音も表記するAbjad style (AJ) の方が、「二字熟語」等の短い漢字語の識別には有利なので、漢字語も基本的にはAbjad style (AJ) で構わないですし、このKanji style (KJ) は、「四字熟語」等の長ったらしい漢字語や、比較的識別しやすい漢字語に、限定して使用するといいでしょう。
2-3は、長ったらしい述部の定形表現を、語句単位で圧縮したものです。圧縮度が極めて高いので、初見では戸惑うかもしれませんが、慣れればとても便利です。
3は、かな/カナの語感に沿って、「ひらがな略語」「カタカナ略語」をそのままLatinize (Latin字化) したものです。
通常の省略方式 (K) に加えて、特に商業的に都合が良いように、「言い易さ」と「新鮮さ」を追求し、より極端に言葉を圧縮する方式 (K2/SS) も、あります。
これらの内、特に、2のAbjad style (AJ)/Consonant extraction (CE) が果たす役割は、とても大きなものとなります。
このAbjad style (AJ)/Consonant extraction (CE) によって、助詞/助動詞/接続詞といった頻繁に用いられる構造的な語彙の表記を圧縮するだけでも、日本語のLatin字表記は、かなり圧縮/簡素化できます。